鮮やかな貸事務所
総合建設業を目指し、下請け中心の土建会社から、家を建てようとしているお客様から直接仕事をいただく建設会社の創立という夢が実現したのです。
総合建設会社としてスタートはしたものの、大手ハウスメーカーの地場建築市場に対する勢は激しく、一部の特殊な建物を除き、あちこちでハウスメーカーの看板、シートが幅をかさねていきました。
豪華なパンフレットに美しいモデルハウス、すかっとした身なりの営業マンの、「絶対に我が社が一番」といってのけるセールストーク。
地場の工務店や中小の建設会社の立ち入る余地はないような気持ちに何度となく襲われていました。
当社は、良い建材、確かな技術の職人、親切丁寧な施工、良いアフターフォローなど、ハウスメーカーよりも良い家をつくる自信はあっても、お客様はなかなか目をとめてくれなかったのです。
そうしたとき、お施主さんとして出会った特許庁にお勤めの方から、「結露のない、冬暖かく、夏涼しく暮らせ、おまけに省エネルギーの家がある」というお話をお聞きしたのです。
ソーラーサーキットエ法について初めて耳にしたのがその時です。
「そんな家、あるはずがない」と、初めて聞いたときには信じられない思いでした。
そこでまずは、ソーラーサーキットエ法の開発元であるKから情報を入手してみることにしました。
なにはともあれ、Kの門をたたき、詳しい説明を聞くために出かけることにした。
それはこれまでの家とは全く異なる性能を持った家についての話でした。
当社が心を込めてつくってきた家より、優れた性能を持っているようなのです。
結露しにくい、カビ・ダニの発生が極端に抑えられる、ほこりや騒音の侵入がない、しかもたいへんな省エネルギー住宅。
また、冬は暖かく、夏は涼しく、梅雨時のジメジメがなく、一年中爽やかな空気が保たれる。
まるで夢のような、夢にも見たことがないような性能を持つ家ということでした。
私のそれまでの家づくりでは想像も及ばない、嘘のような話だったのです。
しかし、もし本当に、このような家をつくることができたら、大手ハゥスメーヵーと肩を並べることができるはずだと、そのとき、感じたのです。
ハウスメーヵーでは決してできない家であり、なにより、お客様に素晴らしい家を提供できる建設会社になることができるはずだ、という思いでいっぱいになったのです。
今のままではハウスメーカーに対抗していくのは難しい、という切羽詰まった現状もありました。
しかし、本当にそのような優れた性能の家があるなら、建設会社として挑戦してみないわけにはいかない、という気持ちに突き動かされ、社員を集め、社運をかけてみようと決意を打ち明けたのでした。
Kから聞いたソーラーサーキットエ法の性能について、「本当に信用できるのか」わかりませんでした。
確信を持てないものをお客様にすすめるわけにはいきません。
そこで、間髪を入れずに取り組んだのが「実験住宅」の建設でした。
実験住宅を建てたのは地元の埼玉県、なるべく県庁所在地に近い場所を選びました。
建坪は訓坪の3LDKで、夫婦と子供ふたりの標準世帯を想定。
冷暖房の設備に関しては、1階リビングに冷暖房機を1台、2階の階段上には冷房機を1台設置。
工事の細部にわたっては、Kより指導をいただき、マニュアルに忠実に施工しました。
構想から約6カ月後、暑い夏が終わりを告げる1992年9月の末に実験住宅が完成しました。
温度比較調査はセンサー付き温度記録計を用い、外気温と各室内温度を記録しました。
リアルタイムの計測を記録紙に刻んでいくという方法です。
冷暖房のランニング状況などは、実験住宅で性能を確かめる最初の冬が訪れました。
木枯らしがふきすさぶ冬の日中、外気温は7度。
1階リビングに置いてあるFF式石油暖房機をn度の室温設定で動かしてみました。
すると約10分で室温はn度に到達。
オートセーブ機能がついている暖房機は、その後、10分の間、燃焼が止まっていました。
やがて、サーモスタットが働き運転モードに切り替わり、約4分燃焼すると15度に回復し、再び燃焼はお休みに。
その繰り返しでした。
つまり、一度20度に達した室温を持続させるためには、10分経過した後、約4分間だけ暖房を稼働させればいいのです。
例えば、単純計算で、1時間の暖かさの確保に約5分間暖房を稼働させたとして、1日の暖かさ確保のためには、5分×別時間ですから120分。
1日2時間の運転で、叫時間全日の暖房が実現できたのです。
ざらに、リビングがn度のとき、1階トイレは肥度、2階子供部屋はn.5度。
しかも1階リビングのみしか暖房器具は設置してありませんから、この家全体の暖かさは今まで当社の家づくりではとうてい得られなかったものでした。
梅雨時も身体にまとわりつくようなジメジメ感は全くなく、室内空気が軽く、爽やかに感じられたのは私だけではありませんでした。
夏になりました。
階段を上りきった2階天井に設置したエアコンは、n畳用の少々大きめの機器でした。
朝、比較的外気温の低いうちに外気を取り入れると、お昼近くまでエアコン木枯らし吹きすさぶ冬の寒さに耐え、砂ぼこりも抑え、暖房から発生する結露もなく、そしてなにより、家全体の暖かさを保ち、やさしい暖かみで身体を包んでくれる。
それはいつか味わったことのある、旅先の高級ホテルの温熱環境と同じものでした。
外気が10度を超す頃、室内の温度も徐々に上昇が始まり、列度近くになりました。
午後に入って、エアコンのスイッチをオンにしました。
2階の冷気は階段を伝って降下が始まります。
1時間ほど経つと室温は羽度近くになり、うんと涼しいという感じはありませんでしたが、動かなければ汗をかくという状況ではありませんでした。
翌日は少し早めのU時頃、室温が弛度に達する前にエアコンをオンにしてみました。
すると刀度前後を保ち、1階全体で涼しさ、除湿感を感じ、さすがに高断熱・高気密のすごさを実感きせられた夏の体験でした。
雨の日、雪の日、風の強い日、寒波の続いている日、真夏日、熱帯夜、梅雨時、台風。
いろいろな温度環境のもとで約1年の記録をとりました。
それは「体感・体験」を通して肌で感じる「住宅性能」でした。
私の建築人生の中で一度も経験したことのない、冬の暖かさ、梅雨時や夏の爽やかさ。
結露しない窓、家中が温度差の少ない住空間、冷暖房に頼りきりにならない省エネルギー住宅であることも確信しました。
実験住宅における1年間は、いまだ出会ったことのない世界を肌で知った住空間の体験でした。
しかし、このソーラーサーキットエ法をもって得られる住宅性能を、どのようにして伝えたらいいのか、考えきせられました。
語れば語るほど、不信感を募らせてしまうかもしれません。
体験したことのない未知の世界をいくら発信しても、行動の喚起にはつながらないでしょう。
私自身が信じられない住宅だったのですから。
あれば、私自身が確信を得たように、「体感・体験」してもらうしかないのではないこの新しい、始まって間もない高断熱・高気密、そして壁体内に通気層があるという、この住空間にお招きして体感・体験してもらうことから始めようと閃いたのです。
賃貸事務所をするのが良い賃貸事務所であると言われていますので、こちらも覚えておきましょう。
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